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NAB

2020

公益財団法人豊田市文化振興財団主催のコンペ「農村舞台アートプロジェクト」の応募案。
農村舞台アートプロジェクトとは、2010年豊田市北部から東部にかけて現存する国内有数の農村舞台群を、地域の文化資源として活用し、アートで新たな市民文化を発信するアートイベントとしてスタートしたもの。
今回のコンペのテーマは「紙」であった。

*農村舞台とは、江戸時代後半から昭和の初めにかけて、農山村の娯楽の場として神社境内などに建てられた舞台で、北は北海道、南は宮崎・鹿児島まで、日本各地に広く分布する。特に愛知県山間部は芸能の宝庫と言われ、神事や芸能が農村舞台で演じられてきた(以上、コンペ要項より抜粋)。

concept
愛知県豊田市を流れる矢作川流域は、古くは衣(挙母/ころも)の里と呼ばれ、西三河の政治・文化の中心として栄えてきた。また、現在豊田市挙母町と呼ばれているこの地には、江戸時代に挙母藩が置かれ、三宅氏が桜城を築いたという歴史がある。
三河地方を代表するお祭りの一つで、豊田市で毎年10月に行われている挙母祭りは、その起源は江戸時代の寛永年間(1624~43)に始まったと言われるほど古く由緒あるお祭りで、紙吹雪が大量に舞うことでも有名である。紙吹雪を撒くのが始まったのは、明治時代に山車の順番を巡る騒動が切っ掛けと言われているが、一番最初の山車を「華車(はなぐるま)」といい、紙吹雪を撒いて行う演出には、紙への感謝の気持ちが込められているという。
また、鎌倉時代中期の文永二年七月七日(1265.08.19)に藤原為家などによって作成されたといわれている「白川殿七百首」には、公卿であった源具氏によって、この地に関する以下の歌が詠まれている。

立ちかえり 猶みてゆかん さくら花 衣の里に にほふ盛りは

以上のように、この地の歴史には、「桜」「華」「紙吹雪」が深く関わっている。
ここで提案するのは、農村舞台内部で、期間中、桜の花びらが風で舞い落ちるように、紙吹雪を常に降らせ続けるというインスタレーションであり、二週間の会期の最後には、舞台の上に桜吹雪の山が出来上がるというものであった。
夏に桜吹雪が、それも建物の中で延々と降り続くというこのインスタレーションは、挙母祭りへの期待感を誘うものであり、地域の歴史と自然に宿る神々に感謝を示すものであった。

一見馬鹿馬鹿しく単純に思えるこのインスタレーションも、相当入念な準備が計画されていた。

空間インスタレーション
主材:紙

■ installation art
material: paper

この作品は1次審査を通過し、最終2次審査で残念ながら落選となりましたが、今後他の場所での実現を目指しています。