marrakech
2009、東京
2007年に廃盤になったFritz Hansen社の名作オフィスチェア「SPIN」を株式会社 秀光がライセンス契約により、日本でのみ販売。そのカバーリングを依頼した15人のクリエーターの1人に選ばれた。
オフィスチェアとは、何とも堅苦しい響きである。思いつくのは、黒い皮や布とスチールの素材、そして太い脚、キャスター等々。
この「SPIN」も名作と言われつつも、そういったいわゆるオフィスチェアの印象を脱し得なかった。
そこで、カバーリングは一見、オフィス家具では有り得ないような畳のような表情をもった素材にした。また、椅子を使用する毎に、その表情が日々変化していくような素材選びにもこだわった。
今回採用された特殊な生地は、座る度に、洋服に引っかかる。引っ掛かることで、糸がほつれる。引っ掛かることで、糸が破れる。引っ掛かることで、全体の形状が崩れて行く。
その表情は、ある固定化した堅苦しい状態を保つことがなく、常に変化し続ける。
その表情は、まるで生物のようでもある。
■椅子
*この作品は、2009年5月20〜6月26日まで、秀光本社ショールーム 川崎ソリッドスクエア5階で開催された展示会に出品された。